少女漫画の定義、とはいったいどういったものでしょうか。
少女漫画は、「少女が読む」から、少女漫画、なのではない。
少女の心の中にある″カケラ″を描くからこそ、
「少女漫画」なのではないだろうか。
その証し、ではないけれど、
優れた少女漫画を描く男性作家も少なくない、と聞いた。
では、少年漫画はいかがだろうか。
少年漫画は、少年の心の中にある″カケラ″を描く。
そして、大人の女性にもなかなか受けると、これも聞いた。
少女の心の動きは、少年にはとてつもなく”読めない”代物ですし、
大人の男性にも″読みづらい″からこそ、
その″カケラ″に触れることで、
大人の「感傷」に耐えるのではないのでしょうか。
で、「グーグーだって猫である」、であります。
カリスマ的少女漫画家・大島弓子さんの漫画エッセーを映画化。
主役の天才漫画家・麻子を演じるのは、
永遠のアイドル・小泉今日子。
花びらが舞い、落ち葉が散る吉祥寺での出来事を描く。
長年、連れ添った猫のサバを亡くし、漫画を描けなくなった麻子。
そんな麻子の元に新しい愛猫・子猫のグーグーがやってくる。
グーグーとの幸せな日々に麻子は元気を取り戻し、
新しい作品のアイデアも。
麻子のアシスタント・ナオミ(上野樹里)は大喜びする。
年下の気になる彼氏・青自(加瀬亮)との出会いも…
順調に復活したかに見えた麻子だけれど、
突然、思いもかけない事情に巻き込まれる。
本当は、ただおっとりしているだけなのに、
あふれる才能のせいで、「大人の女性」として見られてしまう麻子は、
アシスタントのナオミからもグーグーからも、
青自からも甘えられて、
自分の中にある寂しさをうまく表現できない。
不器用な少女のまま大人になった麻子の姿は、
少女の意外な強さとはかなさを思い起こさせる。
子猫の視点で世間を見ると、
だれもが持つ、少女の心の中の″カケラ″が目に映る。