halukaブログ

やっぱり海が好き!

どこにだって行ける。だって「スーパーカブ」だもん。

作家、トネ・コーケンの小説「スーパーカブ」の主人公・小熊は、

山梨県北杜市(ほくとし)で1人暮らしをする高校2年生の女の子。

父は、小熊が幼い頃に他界。

母は、小熊が高校に進んだ直後に失踪。

奨学金で高校に通う小熊は、地味で野暮ったい1人の少女。

趣味もない毎日をただ何となく生きている女の子として描かれている。

そんな小熊が、ひょんなことから中古の「スーパーカブ」に出合う。

 

スーパーカブは、ご存知、本田技研工業(ホンダ)の小型バイク。

世界で1億台、販売されたとされる。

いわば、″世界一売れた″バイク。

郵便配達や新聞配達の方々など、

見掛ける機会の多いバイクだ。

 

話はそれますが、

ベトナム第2の都市・ホーチミン市を旅した折には、

「HONDA」に限りなく似た名の「HONGDA」という中国製の別物バイクを街路で幾度となく目にした。

まあ、それはいいとして、本説に戻ります。

 

スーパーカブを手に入れた小熊の世界は広がり、カブ仲間もできる。

友人となった同級生・礼子。

小熊と違い、長身の美人。

父は、政治家。

母は、自営業。

アパート暮らしの小熊に対して、別荘で1人暮らしの礼子。

スーパーカブの乗り手としては礼子の方が先輩で、

小熊にその魅力を語り掛ける。

そんな2人の少女の視線が丁寧に描かれながら、物語は進む。

他人とのコミュニケーションが苦手で奥手な小熊が、

好きなことで人とつながっていけるんだと感じ始める。

「どこにだって行ける。だってスーパーカブだもん。」は、

礼子の言葉だけれど、小熊も共感していく。

 

英単語「Cub」は、キツネ、熊、ライオンlなど獣の子、

未経験な子どもなど、とにかく「駆け出し」を意味する。

著者トネ・コーケンが意図したか否かは分からないけれど、

非日常のスーパーカーなんかじゃない、

日常に溶け込んだスーパーカブへの愛着と心境の変化の描写がいい。

スーパーカブの魅力に触れてみたい方には、ぜひ! の一冊。

 

スーパーカブ (角川スニーカー文庫)

スーパーカブ (角川スニーカー文庫)