このところ、少々、日々に追われていたので、
一人になる時間を欲して、なじみの大将のお店を訪ねた。
そろそろ、伊勢エビ漁が各地で解禁になる季節だな、
なんて考えながら、一人歩き。
お店ののれんをくぐって、大将に聞くと、
台風の影響なのか、まだ数が少なくて、結構なお値段ですよ、
と苦笑い。
そこで、伊勢エビはあきらめて、
「さいまきエビ」(沖縄県産)の刺し身にありついた。
頭に焼きを入れ、胸部分は、生のまま。
箸で口に運ぶと、小ぶりだけれど甘く、
しっかりとした噛み味が舌に載り、口腔を満たす。
頭から胸まで、残さずいける。
国産牛の炙(あぶ)りと鮭茶漬けもいただいて、胃袋を満たした。
日本酒との相性も、もちろん、抜群。
小腹が満ちたところで、いつもの時間に、
いつもの止まり木にたどり着く。
少しだけ、オーナーにわがままを言って、
いつものレコード盤に針を落としてもらう。
渇いた脳と満ちた胃袋に流し込む。
もう1滴、もう1フレーズ。
1、2杯のつもりが、カウンターの雰囲気につられて、
杯を重ねる。
重ねるうちに、きょう1日、あるいはここ2、3日の間のいろいろが、
グラスのなかで溶けていく。
季節が移る。
緑と青が混じって深緑。
青と白が混じって海砂。
秋がくる。
深緑は紅になり、海砂の青は、紺碧になる。
老若男女の装いも変わりゆく。
今夜もこのバーに、なにかしら落とし物をしていく。
そしてまた、拾いにくるんだろうな。
飢えと渇きが再来しないうちに、止まり木から離れよう。
二日酔いは、ご法度。
明日は、海。
では、口直しに、生ビールを一杯だけ。(^_-)-☆