こんにちは、halukaです。
潮騒だけの世界。
真冬の低気圧が去って、
海砂を濡らす海水にウネリはありません。
ほんの波打ち際で、ほんの数センチ、
いっぱい、いっぱいの膨張が裂けて、
ほんの少し、白波が泡立つだけです。
そんな海の日。
肌を刺す空気の冷たさも手伝って、
サーファーの姿はありません。
見上げると、トビでしょうか。
大きな翼を誇らしげに、惜しげもなく広げてみせて、
その雄姿のままに、宙を滑空しています。
羽音もなく、風を切る音も、耳には届きません。
微かな風をゆらして響いて聞こえくてるのは、潮騒。
青色の潮騒だけの世界で、
サーフボードをのんびり漕いで、
来ることのない、セットの波を待ちながら、
太陽はやがて西に傾いてみせて、
風は少しずつひんやりと冷たくなってみせて、
海砂の上に、打ち上げられた流木が、
低い影を伸ばしてみせます。
幼い頃のうつろな記憶。
北風と太陽でしたでしょうか。
どちらが勝ったか負けなのか。
その物語の結末は、
いまは頭に浮かぶ事はなく、
ただ、その主題だけが、
「北風と太陽」という、
その主題だけが、視線と肌に映って、
それが、真冬のサーフィンなのかなあと、
そんなことを思ったりしながら、
ほんのわずかな時間、
波にゆられてみました。
潮に浸かっていたのは、ほんの半時間。
それでも、ぐっとおなかが空いて、
指先はかじかんで、ポリタンクのぬるま湯をかぶった頭は、
あっという間に冷え返って、
家に帰り着いたなら、いったい何を口にしようかと、
もう、そんなことばかりが頭をよぎって、
つまり、寒いのです。
「冬を制する者だけが、夏を制する」なんだとか、かんだとか、
カエル男がオーナーのサーフショップの仲間の耳打ちが耳から離れず、
今日も明日も、きっとその先々も、
こうして海に通うのかなと、
そんなことを思ってみると、
サーフィンに誘ってくれた仲間や、
サーフィンに誘われてくれた仲間や、
サーフィンの後のアフターサーフに誘ってくれる仲間が、
そんな仲間がいてくれて、
ほんとうに幸せだなあって、
そんなことを考えたりもしながら、
気がつくと、着替えが済んでいて、
つまり、帰り支度が済んでいて、
すっかりおなかが空いていることに、
もう一度気づいたりして、
帰宅するなり、作り置きのカレーライスを頬張った、
晴れない空の潮騒だけの、
とっても寒い冬真っ盛りの一日でした。
ウインターサーフ物語。「寄せる波に合わせて波待ちするけれど、待てど暮らせど波は来ず沖合5メートルで3本乗る」の巻。 - halukaブログ