halukaブログ

やっぱり海が好き!

散文夢想「夕暮れ時が包む森は吹く風が万緑を揺らす爽快感に抱かれて」。

こんにちは、halukaです。

 

夢、想う初夏。

 

前夜の雨はあがりましたが、

西から吹く風が強い初夏の一日。

 

午後のスケジュールを終えた夕暮れ時、

ぽっかりと時間が空いたので、

「さて」と、時計を見ると午後の4時。

 

風薫る季節です。

夕食までにはまだ少し、余裕があるなと思案して、

気分転換にいいかなと、

そう遠くない、

低い丘を包む小さな森を歩いてみました。

 

森に向かう、舗装された歩道を行くと

ぽつり、ぽつりと人の影。

その人影を覆い隠す大樹の枝葉が、

天を突く全身を濃淡に彩る万緑を誇るように、

上下左右に大きく揺れて、

吹く風の強さを教えていました。

 

十分な年輪を感じさせる森の木々。

その木々の枝先が、

吹く風に大きく揺られる様子は、

おおらかで、ダイナミックでもあり、

めぐり来る季節が、

「まだか、まだか」と、

自分の出番を急かせているようも感じます。

 

森を歩くと、

一帯は、ひんやりとした空気に包まれて、

アスファルトの歩道の脇をコケ類が埋めています。

そのおかげでしょう。

心地のいい湿り気が肌に静かに触れて、

木漏れ日の和らぎがいっそう際立つ恵みの空間。

 

小さく下っては、小さく登る。

その繰り返しの森をめぐる坂道を歩きながら、

時折、足を止め、

腕を広げて、背を伸ばして、

胸いっぱいに息を吸い込みます。

爽快感に満ちる時。

ただそれだけの単純な仕草が、

気持ちをリフレッシュさせてくれるのですから、

それが自然の魅力です。

 

そんな憩いの森を抜けて、

その先にある、広いグラウンドに出てみると、

そこはまるで、大きな陽だまり。

 

夕陽を浴びながら、愛犬と散歩をする人。

 

グラウンドにたたずむ少年。

 

散歩のご夫婦。

 

人それぞれが、

思い思いに過ごす時を

吹く風に揺れる万緑が見守っているようでした。

 

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ふと、気がつけば、

慌ただしく過ごす毎日があります。

 

心と体のバランス維持に

気分転換も忘れたくないと思いつつ、

つい、日を重ねるのも日常というものでしょう。

 

二十四節気でいう「立夏」は過ぎて、

「夏の初め」といわれるこの頃の時季。

 

夏めいてはきましたが、

早朝に森を歩けば、

東の空から射す木漏れ日は爽やかで、

夕暮れに森を歩けば、

西の空から射す木漏れ日は柔らかです。

 

森の池には、もう間もなく、

ハナショウブの紫の花も開く頃。 

 

夕暮れ時も少しずつ、その時間が長くなり

そこを歩く、あるいは、

たたずむ人影が縦に長く、

伸びて見える季節になりました。

 

早朝でも、夕暮れ時でも、

もしも思い当たりがおありでしたら、

万緑の森や林を思い起こしてみませんか。

 

うららかだった春の森が、

目に鮮やかな緑が映える初夏の森に衣替えする様子が、

気分を変えてもくれそうです。