こんにちは、halukaです。
「小さい鐘(かね)のような形をして、中に舌の下がっている金属製・
陶器製・ガラス製などの鈴」(広辞苑第六版・岩波書店)と聞いて、
その姿・形が「あっ」と、まぶたに浮かんだ方は、
その音色にもきっと、覚えがおありのことだと思います。
答えは、「風鈴」です。
この頃はもう、
「風鈴を売り歩く」といった風情を見掛けることもありません。
せめて、夏祭りの出店で見た覚えがあるほどでしょうか。
「チリリン」と、
透き通って乾いた音色のする「風鈴」の響きは、
夏の頃のそよ風の音。
「風鈴」は、俳句の季語にもありますが、
そよ風が誘う「チリリン」という涼し気な音色は、
暑気にあえぐなか、
一服の爽やかさになって、耳に届くものです。
同時に、その風雅な姿をながめていますと、
ゆらゆらと、夏のそよ風に揺らめく「風鈴」の仕草は、
あっという間に走り去る
暑い季節の名残りを教えてくれてもいるようで、
けなげな雰囲気さえ伝わってきます。
似たものに「金魚玉(きんぎょだま)」がありますね。
文字通り、水を満たしたガラス製の丸い玉に
金魚と藻を入れて吊るす軒先飾り。
どちらも、この頃は、
もうすっかり見掛けなくなったようにも思います。
【写真AC】
俳句を詠んで、その背景や心象風景を描く
「俳文」と呼ばれるエッセイを綴ろうかと思案しますが、
心はどうにも上の空。
なにしろ、7月は季節を飾る風物が豊富なせいか、
花々や木々、生き物や食べ物など、
季語の数もそれなりにありまして、
ひと言、ふた言、知らない言葉を調べたり、
知ってはいても、遠い思い出になってしまっている情景を
思い出しては懐かしんでみたりしまして、
「俳文」を綴ろうとするペンは、なかなか次の行に進みません。
そんな中で見つけた「風鈴」。
日本の夏によく似あう、シンプルな軒飾りですが、
「風鈴」が奏でるささやかなつぶやきは、
不思議なことに朝に昼に夕に飽きることなく、
涼しげな音色を運んでくれもします。
気持ちを落ち着けて、その姿と音色を思い起こせば、
作句と俳文綴りにペンが走り始めるかもしれません。
「風鈴」に関しましては、冒頭の解説に重ねて、
広辞苑(第六版)の「風鈴」の項に、こう続きがあります。
「吊るしておくと風に吹かれて快い音を発する」。
いかがでしょう。
いささかの涼しさでも、お伝えできましたでしょうか。
※7月6日~8日にかけての豪雨で、
被害に遭われた方々、そのご関係の皆さま、
また、復旧にご尽力なさっている方々へ、
何卒、ご自愛ください。
これ以上、被害が大きくならないことを、
心底より願っています。