こんにちは、halukaです。
将棋やチェスなどたくさんのテーブルゲームには、
定説、謂われ(いわれ)あるいは、格言などとされる、
「常に頭に置いておきなさい」との諭しの鉄則があります。
「桂の高跳び歩の餌食」は、有名なその一つ。
桂馬(けいま)は、将棋の駒の中では唯一、
「ほかの駒を飛び越えることが出来る駒」です。
その動きは変則的で、
チェスの駒の一つ・ナイトと同じように、
「斜め一間飛び」が出来、
その間にほかの駒があったとしても、
その動きを封じられることは、ありません。
ただ、チェスのナイトと決定的に違うのは、
チェスのナイトは、横や後ろにも「斜め一間飛び」が出来るのに対して、
将棋の桂馬は、“前方” にしか飛べません。
このため、まず将棋の桂馬を覚えて、
次にチェスのナイトを知ると、
ナイトの、あまりにトリッキーな動きに当初は戸惑う羽目に陥りますが、
すぐに、慣れはします。
さて、桂馬にお話しを戻しまして、
その、「前方・斜め一間飛び」しか出来ない桂馬。
ほかの駒を飛び越えることが出来るからと、調子に乗って、
敵の歩兵(ふひょう)の前なんかに飛び出しますと、
何の抵抗も出来ずに、あっけなく取られてしまう守備力の低さは、
「それでも、君、将棋の駒か!」と、
気合を飛ばしたくなるほどの弱々しさです。
【写真AC】
ところが、これを、手駒として持ち、
敵が一瞬でも油断をしようものなら、
その隙に乗じて、敵陣にパチリと指し打ち、
その、たった一手で、
敵の玉将(ぎょくしょう)を詰ませることさえ出来る、
攻撃力5の「それでこそ、君、将棋の駒だ!」と、
褒めちぎりたくなる、優秀な、飛び駒です。
知られた定跡としては、まず、
桂馬の両取り(けいまのりょうどり)。
両取りとは、
一つの駒で、敵の二つ以上の駒を同時に攻め立てる手で、
非常に優秀な一手です。
その中でも、「桂馬の両取り」は、
「斜め一間飛び」が出来るという特殊能力を生かして、
敵の駒から一段離れたマスから敵を攻めることが出来るため、
敵は、この攻撃を避けにくく、
さらに言えば、
敵からの直接的な攻撃を受けることは、少ないという、
とても知的な一手でもあります。
次に、「桂馬の不成(けいまのふなり)」。
将棋の駒は、
敵の陣地三段以内に進み込めば、「成り」といって、
金将と同じ動きをする駒に、“成長” することが出来ます。
例えば、
前方にひとマスずつしか進めない歩兵が、
前・斜め前・真横・真後ろにひとマス動ける金将に変身。
あるいは、
槍のごとく、
前方に一気に進むしか道のなかった香車(きょうしゃ)が、
同じく、金将に変身できる、といった具合です。
さて、ここで、桂馬が相手陣内の三段以内に進んだ場合ですが、
金将に成らず(成桂)、桂馬のまま、そこに留める戦法が、
「桂馬の不成」です。
ほかの駒を飛び越して、敵の守りのなかに割って入り、
敵を威嚇し、あるいは、敵の指し筋を止められるのは、
桂馬だけです。
その強力な攻撃力を生かすため、あえて、金将に成らず、
持ち得る能力を最大限に発揮させるという、
これまた、知力あふれる判断力に満ちた一手です。
敵の囲い(守り)が、徹底的に堅いとき、
「とにもかくにも、何でもいいから、桂馬を指し打ってみる」は、
私がときどき使う、 “魔の一手” でもあります。
なぜなら、「桂の高跳び歩の餌食」だから、なのでした。(^_-)-☆
追伸:
出る杭は打たれ、飛ぶ桂は食われるが、そこに夢がないでもない。 by. haluka