こんにちは、halukaです。
愛車のエンジンをかけたのは午前5時の少し前。
辺りはもう十分に明るくなっています。
1年のうちで、昼の時間が最も長くなるという、
「夏至(げし)」の日は、とっくに過ぎたと知っていますが、
まだ、これからが夏の盛りということでしょう。
夏7月の太陽は、東の空から顔を出し始めると、
あとはぐんぐんと、あっという間に空を昇って、
頭上から太陽光を降らせてきます。
そうなる前。
出来れば、陸から海側へと、オフショアの風が吹く間、
朝凪の時刻より前に、
波間にサーフボードを滑らせたくて、
サーフィンを楽しみに通い慣れた海辺を目指しました。
「午後になると、天気が崩れる」。
天気予報は、そう伝えています。
車のハンドルを握って、かれこれ20分ほど。
海辺に続くバイパスが描いてみせる
緩やかなカーブの車線に導かれるように走る車の窓を全開にします。
乾いたアスファルトの路面を吹き渡る、
湿り気のない、さらりとした風が車内に吹き込んで頬を撫ぜ、
今はまだ、雨粒の時間でないことを教えてくれます。
ビーチブレイクが楽しめる遠浅の浜辺に近い駐車場に
車のタイヤを滑り込ませると、
埋まり具合は5割ほど。
潮の満ち引きと風の向き。
夏の早朝の狙い時を知ったサーファーが、
思い思いにサーフボードを抱え出す頃合いです。
空は薄い雲に覆われて青色にはなり切っていません。
防風林の向こうの大海原も
今朝はきっと、薄い水色をしているのでしょう。
荷台に積み込んでいたサーフボードを引き出して、
滑り止めのワックスを塗り上げるのは、波乗り好きの決まり事。
そのルーティーンが好きで、
波の様子が気になって、少しだけ胸が高鳴る時間。
ワックスを塗り上げたサーフボードを抱えて歩き、
防風林を抜けた先の波間を眺めると、
陸側から海上に向かって吹くオフショアの風が、
ひざ高ほどの膨らみで盛り上がっては
トップから崩れようとする波を抑える、
クリーンフェイスの小波が寄せています。
「ひざ高」だとか、「腰~腹」だとかいう表現は、
「人が海面に立った」と仮定して、
ウネリの高さを例える言い回しです。
「ひざ高」のクリーンフェイスなら、
ファンウエイブと呼んでもよさげな夏の海。
パドリングで沖に向かうと、
太陽光が雲の切れ間から射してきて、
潮の粒をちらす海面までも
その太陽光を斜めにはね返してくる、七色の虹のいたずら。
瞳にまぶしい、夏の朝の波間の光。
その光をつかむようにサーフボードを漕ぎ、
ウネリが持ち上がる沖合30メートルほどで波待ちします。
しばしの静寂と波打ち際から届く潮騒。
その空間に身を委ねた小1時間。
夏の朝の潮風は、優しく吹いて去りました。