halukaブログ

やっぱり海が好き!

週末ライフ。「言われたことだけやるんじゃなくて、これから望まれそうなことを予測して動く」はトップスタイリストさんの核心。

こんにちは、halukaです。

 

「ひと月ぶり、ですね。ちょうど」。

予約の時間、ちょうどに、

暖かな日射しを通す、その分厚いガラスの大きな扉を押すと、

いつもと変わらない笑顔が視界に飛び込んできました。

 

金色と黒色が混じった髪色をした、

その美容室のトップスタイリストさん。

どこで見つけて買ってくるのか、

黒色の緩いパンツがとても似合っています。

 

「今日は、どうしますか」。

「いつも通り、リクエストは、あの件だけ。

あとは、プロにお任せします」と、笑うと、

「はい、了解です」と、柔らかな物腰で、返事をくれます。

 

f:id:halukablue:20191109191912j:plain

   【写真AC】

 

だれもが、いつでも「トップスタイリスト」になれるか。

そう問われるなら、もちろん、そんな訳はございません。

 

聞いてみました。

「お客さんの髪に触れるようになるまでに、

どれくらい掛かるものなの?」

 

「3年でした。それまでは、立ちっぱなしで、

タオルを洗って、乾かして、折り畳んで、収納するだけの毎日です」。

鏡に映る表情を覗き込むと、人懐っこく笑っています。

 

美容学校を出て、国家試験を通過して、

だれもが知る街で、美容師としての道を歩き始めたそうです。

 

「けど、ですね。自分のことを “美容師” って自己紹介できなくて、

“美容室でアシスタントしてます” って、人には言ってました」。

変わらず、人懐っこい笑顔を見せてくれています。

 

f:id:halukablue:20191109191905j:plain   【写真AC】

 

なんとなく、時間を過ごしていた、今日この頃。

そのお店のトップを張るスタイリストさんの、

「シャッ、シャッ、シャッ」と耳元に響く、

少し湿った、髪切り挟みのリズムに乗った音が、

ふいに眠気を誘います。

 

「あのあの、寝そうなんですけど、私」。

「あ、いいですよ。寝てください」。

それでも、人懐っこい笑顔を絶やしません。

 

表情が一瞬変わったのは、

「あの頃は、やっぱり悔しかったですね」と、

「アシスタント」と呼んでいた自分のその頃を、

ひと言だけ、つぶやいた刹那でした。

 

「仕事中に、先輩から呼び止められて、

こっぴどく叱られました」。

「あのね、言われたことだけをやるんじゃなくて、

望まれそうなことを、予測して動け」。

 

「目の前のシートに居る、自分のお客さんを待たせてまでのお説教です。

自分には、今もそれは、出来ません。ただ、今思うと、ほんとうに、

ありがたい」。

 

そのトップスタイリストさんの表情は、

また、いつもの人懐っこい笑顔に戻っていました。

 

どんな職業、どんなポジション、どんな技術にも、

必ず、裏付けがあるんですね。

そんなことを考えながら、

うとうととした、本当に気持ちの安らぐ、

土曜日の午前でした。