こんにちは、halukaです。
「ひと月ぶり、ですね。ちょうど」。
予約の時間、ちょうどに、
暖かな日射しを通す、その分厚いガラスの大きな扉を押すと、
いつもと変わらない笑顔が視界に飛び込んできました。
金色と黒色が混じった髪色をした、
その美容室のトップスタイリストさん。
どこで見つけて買ってくるのか、
黒色の緩いパンツがとても似合っています。
「今日は、どうしますか」。
「いつも通り、リクエストは、あの件だけ。
あとは、プロにお任せします」と、笑うと、
「はい、了解です」と、柔らかな物腰で、返事をくれます。
【写真AC】
だれもが、いつでも「トップスタイリスト」になれるか。
そう問われるなら、もちろん、そんな訳はございません。
聞いてみました。
「お客さんの髪に触れるようになるまでに、
どれくらい掛かるものなの?」
「3年でした。それまでは、立ちっぱなしで、
タオルを洗って、乾かして、折り畳んで、収納するだけの毎日です」。
鏡に映る表情を覗き込むと、人懐っこく笑っています。
美容学校を出て、国家試験を通過して、
だれもが知る街で、美容師としての道を歩き始めたそうです。
「けど、ですね。自分のことを “美容師” って自己紹介できなくて、
“美容室でアシスタントしてます” って、人には言ってました」。
変わらず、人懐っこい笑顔を見せてくれています。
【写真AC】
なんとなく、時間を過ごしていた、今日この頃。
そのお店のトップを張るスタイリストさんの、
「シャッ、シャッ、シャッ」と耳元に響く、
少し湿った、髪切り挟みのリズムに乗った音が、
ふいに眠気を誘います。
「あのあの、寝そうなんですけど、私」。
「あ、いいですよ。寝てください」。
それでも、人懐っこい笑顔を絶やしません。
表情が一瞬変わったのは、
「あの頃は、やっぱり悔しかったですね」と、
「アシスタント」と呼んでいた自分のその頃を、
ひと言だけ、つぶやいた刹那でした。
「仕事中に、先輩から呼び止められて、
こっぴどく叱られました」。
「あのね、言われたことだけをやるんじゃなくて、
望まれそうなことを、予測して動け」。
「目の前のシートに居る、自分のお客さんを待たせてまでのお説教です。
自分には、今もそれは、出来ません。ただ、今思うと、ほんとうに、
ありがたい」。
そのトップスタイリストさんの表情は、
また、いつもの人懐っこい笑顔に戻っていました。
どんな職業、どんなポジション、どんな技術にも、
必ず、裏付けがあるんですね。
そんなことを考えながら、
うとうととした、本当に気持ちの安らぐ、
土曜日の午前でした。
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