ジャンボジェット機を飛ばし、接客し、安全を監視する人々を描いている。
映画「ハッピーフライト」は、
すみずみまで、″作り手″の気配りが行き届いて、
好感が伝わってくる良心的ヒューマン・コメディー。
ある日の空港。
その日が、機長昇格を前にした実機訓練の最終関門だった。
温厚だと評判だった教官が体調を壊したため、代わりに、その日のフライトは、
威圧感いっぱいの原田(時任三郎)と組む羽目になった。
国際線デビューとなるキャビンアテンダントの悦子(綾瀬はるか)にとっても、
試練のフライトになっていた。
厳しさで有名な麗子(寺島しのぶ)がチーフパーサーだったからだ。
乗客と接するグランドスタッフや整備士、管制官たちも、
1980便の離陸準備を進めていた。
一つの便にかかわる人々のエピソードを連関させた人間ドラマ。
矢口史靖監督が、細かな絵コンテを自ら描き、
実際にジャンボジェットの機体を借りて撮影した。
マニアックなほどの凝りようが、
会話のテンポやせりふそのものに表れている。
さらに重ねて、画面構成、エピソードごとの時間配分もいい。
あらかじめ決められたことを確実にこなしていくのもプロ。
予期しない出来事や障害を乗り越えていくのもプロ。
無関係な人にとっては些細(ささい)なことでも、
それをやり遂げた充実感は、
本人たちにとって大きな喜びとなって返ってくる。
プロ集団である航空業界が、
仕事への誇り、責任、愛着を描く格好の舞台となっている。
フランク・シナトラの「カム・フライ・ウイズ・ミー」が主題歌。
観賞後の爽快感にぴったりはまる。
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