halukaブログ

やっぱり海が好き!

散文夢想「自然が描く輪郭は、いつか見た記憶と重なる『夏の海』」。

こんにちは、halukaです。

 

7月の俳句の季語に「夏の海」のひと言があります。

 

その海に出掛けてみると、

見上げた頭上の空は薄曇り。

彼方の水平線を眺めると、

その上空には厚い雲。

 

頭上の空と、彼方の水平線の上空との間。

無理なく視線が流れる辺りに青空が顔をみせます。

 

湿度を感じない梅雨の半ば。

乾いた風に違和感を覚えながら、

浜辺に続くコンクリート造りの階段にたたずんでいると、

頭上の雲が流れ、太陽光が射しました。

5分間だか、10分間だか、それほどの短い時間。

そうすると、汗ばむ暑さを感じます。

 

彼方の厚い雲は変わらないまま。

頭上は、また灰色の雲に覆われて、

風が、肌寒ささえ運んできます。

 

梅雨の頃の空模様は、行ったり来たり。

今日は、強い雨を降らせたかと思えば、

翌日には、その気がないのか、

雨粒を落とすことをやめてもみたり。

 

その代わり、厚い雲を置き忘れることはないようです。

彼方の水平線の上空の厚い雲が動かないように思えるのは、

遠すぎて、その動きを目が追わないからでしょうか。

それとも、ほんとうに動いていないのか。

 

「そんなはずは、ないよな」。

たたずんでいる海辺には

Tシャツの裾をはためかせるだけの風が吹いています。

上空だけ無風というには無理があります。

 

きっと遠すぎて、

眺める目には動きを察知させないのに違いありません。

 

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動きを察知しづらいと言えば、

彼方の水平線や地平線。

遠くに眺める山の稜線や森林の影。

 

遠大な自然が描く輪郭を眺めていると、

なんだか気持ちがなごみます。

 

「気分が落ち着く」と言っていいかもしれません。

「なぜだろう」と考えてみますと、

「安定して、いつもそこにあるものが、今日もそこにある」という、

自然がもたらす安心感ではないのかなと、そう感じます。

 

海辺で目にする白波の先に

空の青と海の青を分けてみせる水平線をみつけると、

納得感といいますか、平常心といいますか。

静かな心持ちが湧いてきて、

気持ちをリラックスさせてくれるようです。

 

梅雨の半ば。

アジサイ満開の時季を迎えています。

雨に濡れるアジサイ

陽に照らされるアジサイ

色変わりする球形の花の束の輪郭をはっきりと見せる頃。

 

自然がつくる輪郭は、

いつしか記憶に残る鮮明さで人の心をとらえて離さず、

また見た時に甦る記憶と重なって、

懐かしさを覚えさせるのでしょう。

 

7月の俳句の季語に「夏の海」とありますと、書きました。

海が夏を思わせる期間は長くはありません。

梅雨が明ければ、

夏はあっという間にやってきて、

あっという間に去っていきます。

 

短い夏を追いかけて、

海辺で過ごす日が来れば、

きっとまた、あの水平線を眺めていることだと思います。

リラックスした面持ちで。