こんにちは、halukaです。
波打ち際から沖合へ30メートルほど。
灰色の雲を映して、
鈍く光った海面を見つめていると、
やがてゆっくりと薄く持ち上がりながら、
平らだった海面が三角形の波の形を描きます。
その波の陸側の面。
斜めになったその海面にサーフボードを滑らせます。
波の速さに遅れないよう、
パドリングで波をつかまえ、
サーフボードのエッジが波間を切って、
しぶきを上げながら、ぐっと前に走り出したら、
波をつかんだ証しです。
両手のひらでサーフボードの両脇を抑え、
上半身を起こしたら、
両ひざを胸元に引き寄せてスタンドアップ。
サーフィンは、
サーフボードに立てるようになってからが、
楽しくなるスポーツです。
スタンドアップして波間にサーフボードを滑らせたなら、
波とサーフボードの速さを体で感じ、
膝を折ってサーフボードに荷重しながら、
サーフボードの行く手を操ります。
気がつくと、
サーフボードを押していた波は消え、
平面に戻った海に身を置きながら、
また、もう一度、
パドリングして、沖合30メートルほどに。
その辺りでサーフボードにまたがって、
波待ちの姿勢を取れば、
次のターンへの準備ができます。
淡々と繰り返される光景は、
波乗り好きが繰り返す仕草です。
霧のように降っている、こまかな雨。
夕方の少し前になっても、その霧雨は続いていました。
空は、厚い雲に覆われたまま。
太陽光が射し込めば、
大気の青色を映して、真っ青に輝く海辺も
今はまだ、灰色をして、音無しの構えです。
梅雨の時季、ウネリも大きくはありません。
セットの波待ちをするサーファーの後ろ姿も、
そんな夕刻は数えるほど。
それでも、セット波が入るたび、
パドリングしてサーフボードを波に当てにいくのは、
その波が、ふたつと来ないことを知っているから。
「曇天」というのでしょう。
重たそうな雲を眺めていると、
寄せる波のリズムまで、
テンポを遅らせているようにも思えてきます。
ところが、実際にパドリングして、
サーフボードを波間に滑らせに行くと、
波の速さはいつもと変わらず、
アップテンポで白い波が割れてきます。
そんな海が恋しくて、
そんな波が愛しくて、
波乗り好きは、海辺に板を持ち出すのでしょう。
「いつか晴れる」。
まるで願い事のようなつぶやきさえ、
聞こえてきそうな梅雨の海。
天気予報が雨だというなら、
せめて曇りを待ってもみるもの。
天気予報が曇りなら、
隣の席に晴れの日が待っていそうな心持ち。
波打ち際から沖合30メートルほどで、
そんな波乗り気分の霧の中です。