halukaブログ

やっぱり海が好き!

散文夢想「初夏に吹く風を追ってみて届く先には水無月の影」。

こんにちは、halukaです。

 

夢、想う初夏。 

 

大樹が揺れる青空を見上げると、

水を弾く勢いの新鮮な色調の緑の葉が、

意気揚々と吹く、

夏の初めの風になびいています。

 

水稲を育てる田には水が張られ、

整然と植え込まれた早苗が、

大樹にも負けない、

鮮やかな緑の色を放っていることでしょう。

 

5月も終盤になり、

水無月(みなづき)」と呼ばれる6月は、

もうすぐそこです。

 

水無月」を広辞苑(第六版・岩波書店)で探すと、

「水を田に注ぎ入れる月の意」。

「陰暦六月の異称」とありました。

 

早苗は初夏の太陽光を浴びて背を伸ばし、

夏から秋にかけてやがて穂を出して、

秋に熟して米となります。

 

そうは言いながら、

品種によって成熟の早いものもあり、

秋とは言わず、

今年の新米、早場米が出回るのも

そう遠いことではないのでしょう。

 

初夏とは言っても、もうすっかり 、

“夏” を思わせる陽気さえ漂うこの頃。

 

ひと雨ごとに、

本格的な雨の時季、

「梅雨」も近づいているように思えて、

その前線は、いま、どの辺りかと、

ふと気になったりもいたします。

 

野薔薇が咲いて、イバラが咲いて、

季節が春の終わりを告げたのは、

ほんの少し前のことかと、

あっけに取られてしまうほど、

この頃の風は、急ぎ足で吹き抜けるようです。

 

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夏の木立ちは、ささやかながら、

一服の清涼感を恵んでくれます。

 

日差しをさけて、緑の陰に入ってみると、

それまで思っていたよりも、

随分と涼しい思いをすることもしばしば。

 

俳人中村草田男が、

新緑の頃に、

自分の幼い子どもの歯が生えはじめたと、

「万緑の中吾子の歯生え初むる」と詠んで、

    (あこ)  (そ)

一面に広がる青葉を思わせる、

「万緑(ばんりょく)」という言葉が、以後、

人気の季語となったというエピソードも、

季節の妙技でしょうか。

 

新緑はやがて青葉となり、

梅雨に濡れて、大地を湿らせ、

自然を育むことでしょう。

 

水田の早苗は育ち、

秋には黄金の穂を実らせることでしょう。

 

五月晴れに恵まれる日もあれば、

長雨に打たれる日々もあるのでしょう。

 

季節がめぐっていることを

今年もようやく、いつものように、

肌で感じることが出来るなら、

それを自然の悦び、

開放感だと感じるのかもしれません。

 

感性は人それぞれです。

個性も人それぞれです。

 

四季折々は、

その季節が演じるありのままで、

そうした人の五感を刺激して、

感性に訴え、

個性を育んでもくれるのでしょう。

 

 外に出ることが出来るようになりました。

もちろん、順を踏みながら、

少しずつではありますけれど、

健康に代えられるものはなく、

自然に代えられるものもまたない。

 

そんなことを思ってみた午後の夢です。