こんにちは、halukaです。
皆さま、2020(令和2年)のお正月は、
どのようにおすごしですか。
帰省したり、旅行に出たり、
はたまた、
「正月くらいは、絶対に何もしないぞ」という具合の方もおいででしょう。
そのどれにしましても、
年の初めを穏やかに過ごせることは、
何よりの贅沢なのかもしれませんね。
2年目に突入しました「新古今将棋道」は、
1週間ぶりの対局となりました。
私が師と仰ぐ先生との「2020新春将棋対局」。
この一戦は、いつもとは場所の違う、
特別にあつらえられた、雑踏の喧騒(けんそう)がない、
比較的静かな一室で、おごそかに開局しました。
午後4時頃のことです。
師も私も、指し手は順調に進んでおり、
同時に、師と私の手元には、
丸ごとのホールの3分の2を、
これまた、平等に2カケラずつに切った、
口にすると、まるで雪のように溶けてなくなり、
さらには、
おしとやかに口中から消えていく、
在京にして最強のバームクーヘンが、
師の奥様であるご夫人の手で配られ、
我々は、意気揚々と対局に臨んでいたのでした。
ところがその日、勝利の鍵を握っていたのは、
師の破天荒な攻めでも、
へんてこな穴熊囲いになってしまう私でもない、
優美だけれども攻め強い力を兼ね備えた、
神の声を持つご夫人だったのでした。
新古今将棋道④。「相振り飛車からの互いにヤル気満々で派手に展開した空中戦は、ご夫人のキメのひと声で痛み分け」の巻。 - halukaブログ
【写真AC】
蛮勇は、時として、悲劇を生みます。
その対局の終焉は、まさにそんな具合でございました。
順調に駒の「取った」「取られた」を繰り返す私どものことです。
さすがにお腹が空いて、
ご夫人からいただいたバームクーヘンをぺろり。
「さて、ごちそうさまでした!」と、ご夫人にご挨拶をしようとした、
その瞬間でした。
「ねえ、あなたたち、私の分のバームクーヘンって、知らない?」との問いが…。
私ども二人は、とんでもない過ちに、すぐに気がつきました。
残しておくはずだった、ご夫人の分を、
いつの間にか二人で食べてしまっていました。
ここで、師の奥様であるご夫人の美しく、
そして、透き通った声が、その部屋にひっそりと響きました。
「ねえ、あなたたち、私のバームクーヘンはどうしたの?」。
凍りつく、師と私。
そうです。
私どもは、ご夫人のものだった、
バームクーヘンの残り3分の1を食べてしまっていたのです。
将棋どころではなくなりました。
駒を盤上に静かに下ろし、“棄権“ ? 態勢の師。
どうしていいのか分からず、右往左往する私。
勝負の行方は、一重にご夫人の手に握られ、
私ども二人は、静かに退室したのでした。
この勝負、引き分けでしょうか。
それとも、やっぱり二人負け、なのでしょうか…。