こんにちは、halukaです。
潮風が肌に優しく吹く浜辺。
その浜辺に続く、
コンクリートで整えられた階段に腰を下ろしました。
見ると、ぽつりぽつりと、同じように、
コンクリートの階段で憩う人影があります。
初夏の午後。
やわらかな日差しが波打ち際を包みこんで、
海の青を静かに照らしていました。
沖合で横一線を描く水平線は、
いつもと変わらない定位置で、
ウネリを忘れた海面と雲を忘れた空の間で、
ひときわ青い境界線になって、
穏やかに大気と潮流を分けてみせます。
凪(なぎ)の海。
サーフボードを持ち出していたなら、
波間にすっと滑らせた、
そのサーフボードにまたがったまま、
延々と波待ちをしていたことでしょう。
10分、15分とセットの波を待っていても、
こんな日は、
それが寄せて来るとは限りません。
それならいっそ、退屈しのぎに、
サーフボードに腹ばいになって、
波打ち際と並行に、
パドリングして北に漕いだり、南に漕いだり。
トレーニングにはいい具合です。
ほんとうのところの話、
たとえウネリのない凪の日でも
海に浸かった経験は何度もあります。
そんな日は、
飽きもせずにパドリングして、
サーフボードの先のノーズが切る波しぶきを
頬の辺りに受けながら、
「この辺で、待ってみようか」と、
見当をつけた辺りの波間に波を待って浮かんでみても、
サーフボードがぐいっと走る、
パワーのある波が寄せて来るのはまれなこと。
そうは言っても、
サーフィンは、その波が運んでくる
潮の香りをいつの間にやら、身にまとわせて、
海の魅力を教えてくれたりもします。
「波は、自然の贈り物」。
「同じ波は、ふたつは来ない」。
腰掛けたコンクリートの階段で、
まるで、海と語り合うように、
サーフィン仲間が口にする、
気心の知れた合言葉を思い出していました。
そんなのんきな気分で、
海をわたってくる風に吹かれていると、
潮騒が、
「ご機嫌いかが」とほほ笑んでもいるようで、
その場から離れるのが惜しい気がして、
ビーチサンダルの足を組み直しては、
海の青と空の青を飽きずに眺めていました。
海と語れる時間。
風をいとおしむ時間。
潮騒に耳を傾ける時間。
そんな時間が愛おしくて、
コンクリートの階段に、
時を忘れて腰掛けていた休日。
海に浸かると、
体がほぐれ、気分がほぐれる感覚。
それを忘れたくなくて、
いつもの場所に向かったのかもしれません。
やがて来る、夏本番に向けて、
海もサーファーを迎える準備を始めるでしょう。
季節がめぐって、風向きが変わると、
サーフボードを走らせる、
安定したウネリが入ってくるようになるはずです。
この海もやがて、夏を迎えます。